和久傳
茶摘み
2019.05.23
夏の暖かさを感じ始めると、新茶の季節が始まります。お茶の農家が収穫に忙しい中、山では野生の「茶の木」が見つかります。葉がお茶になる、小さな木です。柔らかい茎についた新芽は、簡単に摘むことができます。手で摘むことで、新しい芽だけを、かたちを損なわずに収穫します。
この新茶の最初の表情は、収穫してすぐに楽しむことができます。丁寧に手で収穫した茶葉は、柔らかな味わいです。火にかけた陶器の器の上でぐるぐる回しながら、手でそっと揉み、自然のエキスを放たせます。美しい様をこわさないように、優しく。山の奥の小さな滝で汲んだ水で煎じると、茶葉はほどけて、葉っぱのかたちに戻ります。
その日の収穫は籠に広げて、風を当てて乾燥させます。この茶葉は、最小限の工程で、蜂蜜のような色合いと繊細な甘みのある白茶となります。夏にいただけば、体内の熱を放出し、暑さで弱った精気を取り戻す作用があると言われます。