料理の現場 「自然」を終えて 料理の現場 「自然」を終えて

室町和久傳

料理の現場
「自然」を終えて

2024.06.13

2015年よりはじまった「料理の現場」。
コロナ禍はお休みしていましたが、昨年10月より再開し、今年2月には「あえ(和)る」をテーマに開催いたしました。
今回のテーマは「自然」。 料理人は食材を通して、地球環境の変化を感じています。あらためて自然と向き合い、山や海の食材の背景にあ る地球環境をみなさんと考えたいと、室町和久傳 料理長の小川よりテーマへの想いが語られました。

料理人の自己紹介は、故郷や子どもの頃のエピソードを交えて好きな天然食材・自然環境についてお話させていただきました。
料理人、隣の席のお客様と教えあいながら前掛けを付け、調理場へ入っていただきます。

調理場に入ると、山菜、魚、貝など料理人が厳選した自然食材が並びます。 人々の生活と自然環境とが調和し、持続的で健全な生態系が維持されてきた日本の里山には、水、山菜、ジビ エなど世界に誇れる素晴らしい食材があります。

里山の食材の魅力を知っていただきたいという想いで、山菜の名前、由来、おすすめの調理法などをひとつひとつ紹介。山菜のひとつである「いたどり」は、皮を薄く剥いて下処理をします。いたどりの芽「さしぼ」はおひたしにしてお召し上がりいただきました。
また、山の湧水と浄水、それぞれの水を使った出汁を味比べします。湧水をつかった出汁は甘みがあり、浄水をつかった出汁は鰹の風味をより強く感じます。料理人は、水による味の違いを料理にあわせて使いわけます。

海では、知名度の低さや大きさの問題で市場の取引対象とならない未利用魚の有効活用や、磯焼けが原因で痩せたウニを、陸上で養殖する活動が行われています。今回は、未利用魚となってしまったさまざまな種類の魚からひとつ選び、お客様ご自身で捌きます。
私たちが生きていくために必要な食材の生産。自然への悪影響を抑えるだけではなく、再生していくという考え 方も必要です。本当の贅沢とは何なのか。未来の自然のことを考えながら、料理を作り上げていきます。