料理の現場 「だし」を終えて 料理の現場 「だし」を終えて

室町和久傳

料理の現場
「だし」を終えて

2024.10.17

今年4度目の料理の現場を開催いたしました。テーマは「だし」。
皆様と一緒に、多くのだしに触れ、自在に使いこなせる様になれたらと、昆布、鰹節のだしから変わりだしまで様々なだしをご用意いたしました。

調理場へお入り頂き、まずは昆布・ 鰹節 マグロ節のだしを味わっていただきます。昆布に豊富に含まれているグルタミン酸、鰹節に多く含まれているイノシン酸など、これらの旨味 成分が組み合わさることにより、味を相乗させ、より深い味わいが生み出されます。

今回皆様には、3種の昆布と5種の節、全15種類の組み合わせから、献立の中でお召し上がりいただくお椀のだしを選んでいただきました。
また、ご家庭でも色々なだしを楽しんでいただきたいと、さば節・アゴ魚のあらを使っただしの取り方のご指南もございました。

料理の現場では、昆布と鰹節だけにとどまらず、数々のだしを楽しむ事が出来ます。 <さば節・ウルメ節・ソウダ節・鯵節・アゴ・片口煮干し・貝柱・スルメ・鴨・スッポン・精進(しいたけ、かんぴょう、大豆) 野菜・トマト・ドライトマト・チーズ> グルタミン酸が多く含まれているトマトは、ドライトマトにするとグアニル酸が増加。食材の熟成や発酵による旨味の変化を感じられます。

お客様ご自身が包丁をにぎり、皮をむいた小蕪は、昆布だしをベースに、スルメ・干しエビ・干し貝柱のだしを使ったおでんにしてお召し上がりいただきました。
 
料理の世界では“命”とまで表現されることもあり、礎となり妥協は許されない“だし”。
昆布や鰹など食材の生産地、加工過程の中で生まれる違いを理解しながら、料理は作り出されていくのです。